ラジ
オ少年Y その後2
少年Yの仲良しだったK君とN君とは進路が違ったこともあって, 大人になってからは行き来がほとんどなかった. それが, ある日ひょんなことから連絡が取れるようになったのである. 何度かメールのやりとりをしているうちに, 再会できないかなぁということになり, 意外に早くに再会を果たすことができた. 待ち合わせ場所は, 郷里の門司駅前である. 駅に到着してから再会までの数分は何だかドキドキするような気分であった. 3人がほとんど同時に顔を合わせ, 仲良しだった50年前にあっという間にタイムスリップして, N君の車で門司港の宿に向かった. 当時, 3人は, よく一緒に銭湯に行っていた. 宿の風呂に3人で入って, 50年前を思い出していた. 湯船につかり, 50年分の思い出を少しずつ話し始めた. 話しは尽きなかったが, 3人で枕を並べて眠りについた. よく考えると, 仲の良かった3人ではあるが, 一緒の部屋で寝たことは初めてだったかもしれない. 次の日は, 思い出の場所めぐりである. 50年前の記憶は, 鮮明に覚えていることと, 完全に消え去っているものとがあることが分かった. 車で廻ったということもあるが, 子供時代に比べると距離が半分以下に感じられた. 当時は, 野原でよく遊んだ. 小川でどじょうやめだかを取ったりしたが, 現在は跡形もなく住宅地に変わっていた. こんな山奥と思っていた場所も, 家がぎっしりと建っていた. 再会を果たした後も, 時々メールのやりとりをしている. K君とN君は二人とも九州なので, 今でも時々会っているとのこと.. 子供時代に戦艦の模型作りが得意だったN君は今でも続けていて, いろんな戦艦の名前が出てくる. 目はよく見えるのかなぁ, 手先は震えないのかなぁとか思うが, 作品の様子を聞く限りではそのような心配はなさそうである. K君の風景画は, 一緒にスケッチに行ったN君の話しだと出来ばえは素晴らしいとのことである. 次に会うときには, N君の戦艦の模型とK君の風景画を見せてもらいながら, また昔話しをしたいものである. |